結論:多くのアスリートにとって最適な運動後のサプリメントは、食事またはプロテインパウダーから摂る良質なたんぱく質です。次の練習まで数時間しかないときは、炭水化物も加えます。国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、トレーニング後のたんぱく質が筋たんぱく質合成を強く刺激するとしていますが、シェイクを飲む時刻を分単位で合わせることよりも、1日のたんぱく質の総量を満たすことのほうが重要だとしています[1][2]。ドーピング検査を受ける立場であれば、選び方はシンプルにしてください。禁止物質の検査プログラムによる認証を受けた単一成分の製品は、複数の成分を配合した「運動後用」の製品よりもリスクが低くなります[4][5]。
運動後のサプリメントの早見表
| 質問 | 答え |
|---|---|
| トレーニング後について最も根拠があるのは? | たんぱく質。筋肉の修復とトレーニングへの適応を支える[1][3][4] |
| 炭水化物も必要? | はい。約4時間以内に再び練習や試合がある場合と、長時間の持久系運動の後[1][2] |
| 30分の「アナボリックウィンドウ」はある? | 厳密なものはない。運動による筋肉づくりの効果は少なくとも24時間続くが、時間とともに弱まる[2] |
| クレアチンは運動後に摂るべき? | クレアチンは、何日も使い続けて筋肉内の貯蔵量を増やすことで働く。そのため、ふつうの意味でのリカバリーシェイクではない[6] |
| BCAAやグルタミンに価値はある? | 根拠は弱い。たんぱく質そのものにBCAAがすでに含まれている[3] |
| 検査を受けるアスリートにとってのリスクは? | 追加の成分を含む製品や、ボディビル向けの効果をうたう製品は、汚染のリスクが高い[3][4] |
運動後に何を摂るべきか
その練習が体に何を求めたかから考え始めます。ほとんどの場面は、次の3つで足ります。
- たんぱく質。たんぱく質は、筋肉が修復し適応するための材料になります。ISSNは、運動直後から2時間後までのたんぱく質が、筋たんぱく質合成の「顕著な増加」を促すと説明しています[1]。運動をする健康な成人に対する一般的な推奨は、1回あたり良質なたんぱく質20から40グラムです[2]。自分に合う量は、スポーツ栄養士に判断してもらえます。
- 炭水化物。炭水化物は、筋肉が使ったグリコーゲン(蓄えられた燃料)を補充します。最も重要になるのは、回復の時間が短いときです。ISSNのすばやい補給についての助言は、次の練習までが4時間未満の場合に当てはまります[1]。
- 水分と電解質。大量に汗をかく練習の後には、水分とナトリウムが不足します。国際オリンピック委員会(IOC)は、電解質製品を「中程度から大きな水分とナトリウムの不足の後の、運動後のすばやい水分補給」のためのものとして挙げています[4]。電解質の解説記事では、全米大学体育協会(NCAA)の規則での扱いを取り上げています。
食事は、この3つをすべて満たします。牛乳、ヨーグルト、卵、肉、魚、豆のいずれかに、ごはん、パン、果物のいずれかを合わせた食事で、たんぱく質と炭水化物を摂れます。サプリメントは便利なものであって、必須ではありません。ISSNは、プロテインサプリメントを十分なたんぱく質を摂るための「実用的な方法」と呼び、練習量の多いアスリートには特にそうだとする一方で、食品そのものでも必要量を満たせるとしています[2]。
どの練習の後に何が重要か
この表は、ISSNの公式見解(ポジションスタンド)[1][2]を私たちがまとめたものです。優先順位を考えるための目安であり、個人に向けた計画ではありません。
| 今回の練習 | 次の練習 | その後に最も重要なこと |
|---|---|---|
| ウエイトトレーニングや筋力トレーニング | 翌日 | 次の食事か間食でたんぱく質。タイミングには幅がある |
| ウエイトトレーニングや筋力トレーニング | 同じ日のうち | 早めにたんぱく質と炭水化物 |
| 長時間のランニング、自転車、水泳、ボート | 翌日 | 1日を通した炭水化物、たんぱく質、水分 |
| 長時間の持久系の練習 | 約4時間以内 | 早めに炭水化物と、いくらかのたんぱく質[1] |
| 暑い中で大量に汗をかく練習 | いつでも | 水分と電解質、その後にふつうの食事 |
| 二部練習 | 同じ日 | 合間を計画する。練習と練習の間に炭水化物、たんぱく質、水分 |
ここにないものに注目してください。どの行にも、運動後専用の特別な配合製品は必要ありません。
アナボリックウィンドウは本当にあるのか
部分的にはあります。日本では「ゴールデンタイム」とも呼ばれる考え方です。トレーニング後の筋肉はたんぱく質に反応しやすくなっていますが、その時間帯には幅があります。ISSNのたんぱく質に関する公式見解は、運動の同化作用は「長く続く(少なくとも24時間)が、運動後の時間が経つにつれて弱まる可能性が高い」としています[2]。米国国立衛生研究所(NIH)のダイエタリーサプリメント室(ODS)は、運動の前後1時間以内にたんぱく質を摂っても、筋力や筋肉の大きさは有意に増えなかったとするメタ分析を紹介しています[3]。
実際の受け止め方はこうです。トレーニング後にたんぱく質を摂るのは、食事をするのに理にかなったタイミングだからであって、制限時間が切れるからではありません。最後の食事が練習の何時間も前だった場合は、練習後に早めにたんぱく質を摂ることがより重要になります[1]。
クレアチン、BCAA、グルタミンはどうか
クレアチン。クレアチンは、IOCが「わずかなパフォーマンス向上」をもたらす可能性があるとしている数少ないサプリメントの一つです[4]。NIHは、その効果が主に高強度の間欠的な運動で現れるとしています[3]。クレアチンは筋肉に蓄えられる量を増やすことで働き、それには数日から数週間、毎日使い続ける必要があります。やめると、貯蔵量は約4から6週間かけて元に戻ります[6]。つまり、運動後用の製品ではなく、毎日の習慣です。NCAA1部(ディビジョンI)の大学はクレアチンを提供できません[7]。それでもNCAAの禁止物質ではない理由は、クレアチンの解説記事で説明しています。
BCAA。NIHは、BCAAのサプリメントがパフォーマンスを高める、筋肉を増やす、回復を助けるということを、研究は「一貫して示していない」とし、ホエイのような完全なたんぱく質にはすでにBCAAが含まれているとしています[3]。詳しくはBCAAの解説記事を参照してください。
グルタミン。NIHは、パフォーマンス向上のために「グルタミンを単独で摂ることは、研究で支持されていない」としています[3]。
タルトチェリーやオメガ3を含む、回復に関するより広い分野については、筋肉回復サプリメントの記事を参照してください。
なぜ検査を受けるアスリートは運動後用の製品に注意が必要なのか
「運動後用」は、たいていブレンド製品を意味するからです。IOCの合意声明は、プロテインサプリメントやスポーツバーが「ほかの成分を含むことがあり、その一部は科学的根拠にもとづかず、汚染のリスクを高める可能性がある」と指摘しています[4]。NIHは、米国食品医薬品局(FDA)を引用して、ボディビル向けとして販売される製品は、表示のないステロイドや処方薬が「最も頻繁に混入されている」製品に含まれるとしています[3]。
NCAA自身の禁止物質リストは、サプリメントは「ラベルに記載のない禁止物質で汚染されている可能性がある」こと、そして第三者検査を受けた製品であっても「リスクを完全になくすことは不可能」であることを警告しています[5]。オリンピック競技では、世界アンチ・ドーピング規程の厳格責任の原則により、意図しないものであっても陽性は陽性として扱われます[4]。日本で競技するアスリートは、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)や所属する競技団体の規則も確認してください。
ですから、リスクが低いのはシンプルな選択です。たんぱく質または炭水化物の単一の製品で、禁止物質の検査プログラムによる認証を受けており、ロットまたはバッチを認証機関のサイトで確認したものです。認証プログラムの比較記事では、NSF Certified for Sport、Informed Sport、BSCGを説明しています。
米国の大学チームは運動後のシェイクを提供できるのか
認められた分類に当てはまれば、できます。NCAA1部(ディビジョンI)の規則(Bylaw)16.5.2.7は、NCAAの禁止物質を含まないことを条件に、大学が「追加のカロリーと電解質を補給する目的で」サプリメントを提供することを認めています[7]。認められている分類は次のとおりです。
- 炭水化物・電解質飲料
- エネルギーバー
- 炭水化物補給製品
- プロテインサプリメント
- オメガ3脂肪酸
- ビタミンとミネラル
プロテインシェイクや、炭水化物を含むリカバリードリンクは当てはまります。クレアチンや、これらの分類に含まれない成分を加えた製品は、アスリートが自分で買うことはできても、大学が配ることはできません。プロテインパウダーの解説記事で詳しく取り上げています。最終的な判断は、所属先のコンプライアンス部門に確認してください。
高校生アスリートの場合は
高校生アスリートは、どんなサプリメントでも、使う前に保護者、医師、または管理栄養士に相談してください。NIHは、医療従事者がすすめた場合を除き、子どもにサプリメントを与えることには慎重であるよう助言しています。多くのサプリメントは、子どもでの検証が十分に行われていないからです[8]。若いアスリートの大半にとって必要なものは、練習後の食事でまかなえます。
運動後のサプリメントを買う前のチェックリスト
- まずVarsity Stackでスキャンする。購入前に、バーコードまたはラベルを私たちの認証データベースと照合します。
- チームのスタッフに相談する。NCAAは、確認をアスリート自身の責任としています[5]。
- 単一成分の製品を優先する。シンプルなプロテインや炭水化物飲料のほうが、成分表示の長いブレンド製品よりも適しています[4]。
- 筋肉増強やホルモンへの効果をうたって売られているものは避ける。隠れたステロイドが見つかるのは、そうした製品です[3]。
- 禁止物質の検査プログラムによる認証を受けた製品を選ぶ。そのうえで、認証機関自身のサイトでロット番号またはバッチ番号を確認します。
- まず食事を確認する。トレーニング後の食事でたんぱく質と炭水化物が摂れているなら、サプリメントはそもそも必要ないかもしれません。
Varsity Stackで運動後のサプリメントを確認する
プロテインパウダーやリカバリードリンクを最も手早く確認する方法は、無料のVarsity Stackアプリです。バーコードをスキャンするかラベルを撮影すると、Varsity Stackが購入前に私たちの認証データベースと照合します。そのうえで、ほかのサプリメントと一緒にスタック(摂取しているサプリメントの一覧)に記録しておけば、あなたもスタッフも、何を摂っているかを常に把握できます。
コーチ、スポーツ栄養士、アスレティックトレーナーの方へ:チームダッシュボードには、すべてのアスリートのスタック、各製品の認証状況、全成分の表示がまとまっています。アスリートが購入した製品をスキャンし、スタッフがチームとして承認または却下します。たとえば、認められた分類に含まれない成分が入ったリカバリー用のブレンド製品などです。チームでの利用を申請する。
Varsity Stackはサプリメントの分析検査を行っていません。また、認証はリスクを下げますが、なくすものではありません。
この記事は教育を目的としたものです。サプリメントの摂取を始める前に、資格のある医療従事者または管理栄養士に相談してください。
出典
- Kerksick CM and colleagues, International Society of Sports Nutrition position stand: nutrient timing, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017
- Jäger R and colleagues, International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017
- NIH Office of Dietary Supplements, Dietary Supplements for Exercise and Athletic Performance, Health Professional Fact Sheet (updated April 1, 2024)
- Maughan RJ and colleagues, IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete, British Journal of Sports Medicine, 2018
- NCAA, 2026 to 27 NCAA Banned Substances
- Kreider RB and colleagues, International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017
- NCAA, 2026 to 27 NCAA Division I Manual, Bylaw 16.5.2.7 Nutritional Supplements
- NIH Office of Dietary Supplements, Dietary Supplements: What You Need to Know


